雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 少しして大きくため息をつくと、女は再び反抗した。


「言っとくけど私、王子様の身代わりをするとは言ってないわよ」


 ロイドは女のあごを掴んで上向かせ、その顔を覗き込んだ。


「おまえに選択の権利などない。拒否するなら監禁するぞ。この顔で国内を自由にうろつかれては困るからな」


 少し脅してやる。
 また泣きそうな顔になるかと思ったら、意外にも女は不敵な笑みを見せた。


「別にそれでもいいわよ。ご飯は食べさせてくれるんでしょ?」


 同じ事を何度も説明させるから、頭が悪いのかと思ったら、案外、回転は速いようだ。

 少し感心したが、ここで折れるわけにはいかない。
 もう一押し脅してみる。

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