雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
「どうしたの?」


 ロイドは中空をぼんやり見つめたまま、独り言のようにつぶやいた。


「何やってたんだろうな、オレは。ひと月近くも。殿下の事も、遺跡の事も、全部おまえの言った通りだった」


 ユイは少し微笑んで、ロイドの腕に手を添えた。


「でも、マシンの改造は無駄じゃなかったと思うわ。これからも、きっと役立つと思うし。あれは、あなたにしか出来ない事だもの」


 ロイドはユイを見つめて少し笑う。


「あぁ。確かに数少ない収穫のひとつだ」


 ユイの髪をサラリとひと撫でして、ロイドは気が抜けたように嘆息した。

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