雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 程なく壁にぶち当たる。

 地下遺跡は殿下捜索のために、必要最低限の調査しか行っていない。
 全然データが足りないのだ。

 ロイドは頭を抱えて項垂れた。

 少しでも早く装置を完成させたい。
 何をそんなに焦っているのだろうと思う。

 そして、胸のざわめきの正体を悟った。

 ユイのいない世界に耐えられないのだ。
 それを想像しただけで、心が平静でいられなくなる。

 あまりのふがいなさに、ロイドは低く笑った。

 時計を見ると五時を回っていた。
 データが揃うまで、これ以上何も出来ない。

 ロイドはコンピュータの電源を落とし、部屋を出た。

 寝室の扉を開け、眠るユイの姿を目にするとホッとした。

 ユイはまだ、ここにいる。
 それだけで心が落ち着いてきた。

 上衣を脱いでユイの隣に潜り込み、そっと抱きしめる。

 腕の中の温もりに安心したのか、ロイドはすぐに深い眠りに落ちた。

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