雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

「思い出なんかいらない!」(1)

 寝室に入ったロイドは、ユイをベッドの上に横たえた。
 扉を閉めて振り返ると、ユイは横向きに転がって、ロイドの姿を目で追っている。

 ユイの元に戻りメガネを外して枕元に置くと、ロイドはベッドの縁に腰掛けた。

 ユイは黙ってロイドを見上げる。

 ロイドは少し微笑んで、ユイの頬に手を添えた。
 その手が頬を滑り首筋を辿ると、ユイはピクリと震えて身を硬くする。

 首筋を通過した手は肩を掴み、ユイの身体をゆっくりとベッドに押しつけた。

 じっと見上げるユイを見つめながら、ロイドはゆっくりと身体を倒し、覆い被さるようにして静かに口づけた。
 一度唇を離すと、今度は激しく深く口づける。

 このまま朝までユイに溺れて、全身でユイの存在を感じていれば、あの胸のざわめきも忘れてしまえるだろう。

 ユイの両肩を掴み夢中でその唇に溺れていると、胸の奥で自分自身が問いかけた。




 本当にこれで終わりにしてしまっていいのか?




 ロイドはハッとして動きを止める。
 ベッドに両手をついて身体を離した。

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