雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 ひと息大きく煙を吸い込む。
 たまにしか吸わないので、久しぶりに吸うと頭がクラクラした。

 酒を飲むより、よっぽど思考力が低下する。
 これでもう、余計な事に考えが巡らない。

 頭の芯が痺れるような、この感覚は何かに似ている。
 そう思って、ふと思い至った。

 ユイの唇だ。

 思い出した途端、また欲しくなった。


「……やばい。あいつの唇、中毒性がある……」


 もう一度、ユイとキスがしたい。

 けれど拒絶されてしまった以上、それは叶わぬ夢なのかもしれない。

 好奇心に負けた己の軽率さを、ロイドは激しく後悔した。

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