As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
その日、帰りのHR……。




私は、チョークを片手に…、



そして何故か中道がクジの箱を抱えて……




席替えが、スタートした。





クラスメイトが続々とクジをひき…、


黒板にかかれた数字を確認する。



歓喜の声と、不満げな声とが入り交じりながら……



なんだかんだ、大盛り上がり。



…が、どんどん名前が埋まっていく黒板の座席表に……



私はひとつ、疑問を抱く。



偶然なのか……?




私と中道の席だった箇所が……



今だ、空いている。




机を移動し始める生徒達。



私達を含め、数名しか…残っていない。



私はちらっと中道を見た。



奴は私の視線に気づくと……



悪戯っ子みたく笑う。



…コイツ…、
絶対不正してる!


そう…、確信を持った時だった。




もうひとつ、私を見る視線に…

ハッと気づく。



…律だ。





「学級委員、ご苦労様。」



律はニコリと笑う。



「最後は理不尽だろうから…、柚、先にひきな。」



「…え。」



「あ。中道、あんたはどうぞ最後に。」



「…何でだよ?」



笑ってツッコミをいれるが…、中道…、アンタ動揺してない?



「…はいはい、どーぞっ!」



律はチョークを奪い、トンっと背中を押す。



「…なかみ……」



「はいはい、どうぞ~学級委員!」



「………。」



中道にそう促されて……



どこか複雑な思いのまま、クジを引く。




「……一番後ろ……。」



…ああ、


最悪。



律は窓際一番後ろの箇所に私の名前を書いた。




「…まあ、仕方ない。」



ひとつ息をついた私に、律は耳元で囁いた。




「…離れて初めて気づくもんもあるよ。」


「………。」



どういうこと…?



てか、りっちゃん……。
気づいてる?




そして……



律、
中道……




その両者が最後にクジをひき、予想通りの席に……



決定した。



黙ってみていた担任が、



「中道~、お前替わってないじゃないか。」



…最後に、茶々を入れた。



「周りが替わってるからまあいーじゃないっスか。」



呑気に笑う中道。



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