こうして僕らは、夢を見る
そこでハッ!と気づいた。完璧にペースはのんびり言う籃君のものだと言うことに。



ヘラヘラ笑っているが中々侮れない!



ヤバい。この子等と会話すると疲れるんだけど。若い世代の子の会話ってこんな感じなの?一応私も若い分類だよ。若いけどこの子等と話してると歳を感じてくる。



知らない間に話が逸れるし。



ミネストローネって何だよオイ。なら今すぐ帰って食え。だいたいさっきまでチーズバーガーばっか食ってた奴がいきなりトマト系とか可笑しすぎだろ。



すると又もや籃君が突拍子もないことを言い出した。



本当に何なんだよ、この子は。






「おね〜さんが作ってくんねえ?ミネストローネ。」

「は?」

「俺食いて〜のよ。」

「え、帰って食べれば?」

「え〜。面倒。」

「‥‥‥‥。」





こっちのが面倒なんですけど。



あきらかに可笑しい理由に呆然とする。



いや、帰れば済む話じゃん?君をミネストローネが待ってるよ。真っ赤なトマト軍団も待ってるよ?だからワザワザわたしが作る必要はない。まずミネストローネなんて作ったこともない。きっと途中からトマトジュースになっちゃうよ。なら端からパックのトマトジュース買えよって話になるけど。籃君の目を誤魔化してインスタントにすり替えるよ。99.7%。あとの0.3%は自力で成し遂げる私が頭に浮かぶ。



心の内でペラペラと早口で愚痴を語る。



まず作るならどこで―――って。



まさか‥‥‥



ハッ!と浮かび上がった、ひとつの仮定。



おいおい‥‥‥



ほんとに止めてくれ。頭が痛い。



ミネストローネ?



ミネストローネじゃないよね?籃君はそこまで食べ物に拘る子じゃさそうだ。ならミネストローネは二の次。きっと籃君の本題は―――――‥‥‥






「俺おね〜さん家行きてえ。」






やっぱり。



――‥‥最悪だ。



ヘラヘラと笑い籃君がそんなことを言った。きっとミネストローネに執着している訳ではない。単純にわたしの家に来たいだけ。



ふざけんな。絶対にイヤだ。私は独り暮らしだもん。かなり散らかってるし。なんたって片付けられない女だから。足の踏み場もないくらいゴチャゴチャ。



ソファーの上を服が占領し、フローリングが少女漫画や雑誌で埋めつくされ、机の上にはカップラーメンとかインスタントの食材。



男性の独り暮らしの代表作のような散らかり様。そう簡単に見せられるもんじゃない。



100歩譲って散らかった部屋に招待するとしよう。だけど、私は散らかりようがバレるよりも更に嫌なことがある。



――――――家の場所を知られたくない。



絶対に知られるのは嫌だ。普通に押し掛けられそうで怖い。チャイムとか何度も鳴らされそう。
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