こうして僕らは、夢を見る




「あぢ〜。やべ〜。俺の余命幾何もねえじゃねえの。まじで涼しい処にさっさと行こうぜ」

「どこに行くんだ。利害一致なところなんてあるか?」

「もうどこでも良い。大体これまで適当に流離って適当に解散してたのに今日は何だよ?事が拍子良く進んでねえ…!“約束”なんてするからだろ。気楽に集まれば良かったのによ……」





肩を落とす楓君の言い分には賛成。“約束”なんて改まった事するからだ。結局は普段とすることは変わらないのに大事な日みたいに“約束”するから決まらない。



この猛暑日に外をブラブラするのも嫌という事は利害一致。暑さが苦手な籃君はとりあえず避難所を捜している。



だからさっき「水族館は?」って聞いたのに。だけど我が儘な翼が居るから却下になった。





「元々は蕾さんの行きたいところにしようって話してたんですよ」

「絶対押し付けだよね」





この猛暑の中でも爽やかな笑みを浮かべる司くんに白けた瞳を向ける。



絶対に今、決まらないから私に厄介事を押し付けたよね?ざっと聞けば聞こえは良いけど厄介事を押し付けられたとしか思えない。





「さっさと決めろ」

「早くしてくれ蕾さん」

「もうこの際こっから一番ちけえ蕾ちゃんの家でもいいぜ〜?」

「却下」





絶対に嫌だ。私は籃君の提案を即座に否定する。



もう懲り懲り。TVゲームに嵌まり中々家に帰ってくれなかった日が思い出される。因みにあれ以来誰1人家に上げてない。立ち入り禁止命令を下したから。



即座に却下したが行く宛はない。もう本当に私の家でも良いかな?と渋々ながら思う。これじゃ普段と何ら変わらないスケジュール



翼と朔君にも急かされるし最悪。ならお前等が決めろと言いたい。こう言うときだけ私に頼る。面倒な役割ばかりだ。



思わず溜め息を付いてしまう。



君達どんだけ暑いがりなの。確かに暑いけど。





「げっ。35℃」





携帯を開け温度を見ると35℃という暑さを象徴する文字。





「35℃……」





誰かが絶望的に呟いた。



わかるよ。私も絶望の淵に沈んでる。ああ!もう駄目!私の家に決定ね!?35℃とか干からびる!



――――………そう決定付けたときだ。



携帯画面を凝視したのは。
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