こうして僕らは、夢を見る
24時間営業の某ファーストフード店。カウンター越しでにこやかに対応する店員さん。幼い頃から庶民の味方で親しみのある某ファーストフード店で私がバイトし始めたのは高校生のとき。



店員さんを見る側だった私は今やカウンターの内側に立ち、お客様を見る側になっていた。レジ打ちも素早く熟(こな)しお客様からの些細なクレームにも的確に対応するベテラン店員。何年も勤めている故の、所謂慣れ。



しかし。親しみのある店だけありお客様が多い。それも十人十色。善さそうなお客様も居れば、その逆もまた然り。



忙しい昼時に中々注文が決まらない優柔不断なお客様が居るとき、心のうちでは『早く決めろよ。』そう毒を含んだ言葉を撒き散らしている店員も少なくはない。表面上は笑顔だから余計に恐怖だ。



バイト仲間なんてラブラブカップルを見る度に内心苛ついている。つい最近なんて――――‥‥








『どれにするか決まったあ〜?』『えっとなぁ?――お・ま・え』『やだあ!恥ずかしいよお〜!』『照れんなって!可愛い奴め!』『もうっ!怒るよ?ぷんぷん!』





(テメー等の存在自体が恥ずかしいわボケェェエエ!!!!!!)

(さっさと決めろや!!!!)

(何が『プンプン』だ‥‥‥!!!恥を知れ、恥を!!!!)

(ハッピーセットにすんぞ!!!!!オマケのオモチャ1つサービスしてやるから帰りやがれ‥‥!!!!)





ナルシスト風の彼氏がぶりっ子風の彼女のおでこを―――ツンッと突いたとき、バイト先の店員達はマジ切れ五秒前で宥めるのが大変だった。



しかし意外なことについ最近バイトで入ってきたばかりの高校2年生の男の子が営業スマイルで毒を吐き捨てバカップルを追い出した。若いって素晴らしいよ。



その時の勇敢な新米店員には、店長でさえ拍手を送っていた。



―――――――そんなこんなで私は平々凡々だけど、やや波瀾万丈な某ファーストフード店のアルバイト店員として日々働いている。
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