世界をあげる

すると、太郎さんが口を開いた。

「みんな、ごめんなさい。」

「え?」

「俺、みんなに謝らないといけないことがあるんだ。」

「どうしたん?」

利一さんが太郎さんの顔を覗き込む。

「俺…記憶喪失なんかじゃなかったんです。ほんとは全部覚えてて…。」

利一さんも花ちゃんもキョトンとしている。

「記憶なくなってなかったの?よかったね!」

花ちゃんはそう言って笑った。

「記憶あるなら良かった良かった。」

利一さんも笑っていた。

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