灯火-ともしび-
*1時間後*


「っ…なかなかやるじゃない。」

「たかがゲーム、されどゲームですよ。」

「…はぁ…疲れたっ…。」

「小夏、大丈夫か?」


流馬がヘトヘトの小夏を支え、ソファーに座らせる。
私はそんな小夏に麦茶を勧めた。


「大丈夫?」

「あ、お姉ちゃん…ありがとう。」


じわりと滲む汗がちょっと気持ち悪い。
シャワーでも浴びたい気分。


「あ、流馬くん!もう時間じゃない?」

「ん、あ、やっべ!映画の時間ギリギリかも!」

「あれ、二人で映画なの?」

「そうなんです。」

「早く行っておいで?」

「うんっ!」

「あんまり遅くなるようならメールしなさいよ?」

「はーいっ!」

「行こうぜ小夏!」


すっと繋がれた手に思わず笑顔になる。
嬉しそうな小夏の表情に、少しだけ安堵もする。


「…嬉しそうですね、夏海さん。」


ソファーに座りこんだ風馬が唐突にそう言った。

< 66 / 85 >

この作品をシェア

pagetop