ドライヴ〜密室の教習車〜
 与田里子ちゃんは、今時の女子大生といった感じだ。

 少し茶色がかったロングヘアーは、緩く巻かれている。
 グレイを基調としたチェックのワンピースは、ファッションに疎い私から見てもオシャレだと思う。
 化粧は派手すぎず、清楚でかわいらしい。

 里子ちゃんは、今夜教習が入っていたはずだ。

 彼女には、電話で事件のことを少しだけ話した。


「……ホントごめんね。結構待ったでしょ?」

「ううん。あたしも今着いたばっかりだし」
 彼女の前には水の入ったコップが置かれている。
 あまり量は減っていないようだし、氷も溶けてはいない。
 遠慮をして、嘘をついているわけでもなさそうだ。

「この辺って複雑だからいつも迷っちゃうの」

 里子ちゃんは、また少しだけ笑った。
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