【短編】僕の名はインフィニティ
写真の男
その日も、キミはいつものように庭に出て読書を始めた。

読みもしない本を抱えて。

僕は少しだけ苛立っていた。

どんなに待ってもあの男はキミの前に現れやしないからだ。

窓辺にそっと置かれたあの写真立て。

「その写真がどうかした?気になるの?」

僕はキミの質問に答えない。

そのまま、わざと地面に落とした。

ガシャン。

小さなガラスが飛び散った。

「危ない!」

キミは必死にガラスを拾い集める。

「怪我するといけないから。ね、インフ。」

僕を責めることなく、拾い続ける。

その男はキミの何なんだ?
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