奇妙な関係 ~オスとワタシの奮闘記~
でも……春ちゃんがずっと側に居てくれる保証はない。


成仏しちゃったら、もう一緒にはいられない。


突然消えてしまうかもしれない。


そんなの……。



「なぁに暗い顔してんだよ」



春ちゃんに顔を覗き込まれた。


クッションを抱えた腕に力が入る。



「文美?」



名前を呼ばれるだけで心拍数が上がっていく。


もっと呼んでほしい。


そう思ってしまった乙女全開な自分に戸惑いを覚えた。



「そんなに暗い顔してた?」

「元気がねぇのはどうせ腹減ったとかそんな理由だろうけど」

「ちょっと! 子供じゃないんだからそんな事で元気無くさないから!!」

「文美は十分ガキだよ」



時折見せる甘いマスクは私の心臓を震わせる。



「見るからに春ちゃんの方が子供じゃん」

「中身の問題だっつーの」



悪戯っ子みたいに舌を出した春ちゃんは可愛かった。


こんなにベタ惚れしてるのに、心の中でしか呟けない。


だってこの想いを口にしたところで私達はどうする事もできない。


気まずくなるだけだろう。


それなら胸の内に秘めていればいい。


今までと同じ様に接すればいい。


他に選択の余地はないんだから……。





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