奇妙な関係 ~オスとワタシの奮闘記~
腕時計に目を向けると、いつの間にか七時半を回っていた。


そろそろ帰らないとお母さんが心配するかな……って、それはないか。


階段から落ちた時だってあの程度のリアクションだったんだもんね。



「私帰るけど、どうする?」

「文美がいないのに俺だけ居てもしょうがないだろ」



なんだろうこの妙な違和感。


まともに会話をするのはこれが初めてなのに、優君がこんな感じだからかな?


第一印象最悪だったけど、ちゃんと話が出来て良かったかもしれない。


私たちは席を立ち、並んでお店を後にした。


デパートを出て暫く歩き、私は直ぐに立ち止まった。



「何処の駅から乗るの?」

「A駅」

「……送らなくていいから」



こっちの方向は間違いなくB駅に行く方向だ。


親切心からなのか暇潰しからなのかは分からないけど、落ち着かない。



「一応女だろ?」

「一応って……本当、失礼な奴。 まだ人通りも多いからご心配頂かなくとも大丈夫です」

「そういうところは可愛くない」

「可愛くなくて結構です。 だからついてこないで」



私は優君に背を向け再びB駅に向かって歩き始めた。





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