奇妙な関係 ~オスとワタシの奮闘記~
「は、はい……」



お客さんで役員だとか社長とか会長とか、とにかく偉い人はたくさんくる。


でも今ほど緊張する事はなかった。



「息子の事なんだが……」



え!?


む、息子って優君の事だよね!?


連絡取ってる事暴露たとか!?


別にやましい内容のものは一切ないし、ビビる必要なんてない。



「会社を見学したいと言ってるんだが、今度案内してやってくれないか?」

「……え? 私がですか?」



見学って……なんだ……そんな事……。


強張っていた身体が少しずつ解れていく。



「今まで会社に興味を持った事などなかったんだが、突然見学したいと言い出したんだよ。 鈴川さんとは顔見知りの様だから、あいつも少しは気を遣わずに済むんじゃないかと思ってね」

「ですが……」



私なんかでいいの!?


正直社内の人がどんな仕事をしてるのか詳しく説明する自信ないよ。


受付だから広く浅く把握してるって感じだし……。


まぁ確かに、優君は少しどころか全く気を遣わなくていいだろうけどさ。



「これは個人的な頼みだから、無理にとは言わない。 断ってくれても構わないよ」



そう言われても……。





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