奇妙な関係 ~オスとワタシの奮闘記~
名前で呼べって言われても……。



「あのさ……名前、何だっけ?」

「はぁ!?お前喧嘩打ってんのか」



しょうがないじゃん。


興味がない事は覚えない主義なんだもん。



「馬鹿だからしょうがねぇか。次はしっかり聞いとけよな」



はぁぁぁ?


覚えてもらう立場のくせに上から目線かいっ!!



「一之瀬 春彦。もう忘れんなよ」

「…………」

「てめぇ聞いてんのかよ」

「はいはい聞いてるよ、春ちゃん」

「春ちゃんってなんだよ」

「春ちゃんの方が可愛いじゃん。女の子みたいで呼びやすいし」



名前呼んであげてんのにそんな凶悪な顔で見ないでよね。


なんて感じ悪い奴。



「名前で呼んだんだから、次は春ちゃんが私のいう事を聞く番」

「まだあんのかよ」

「私が寝てる間は立ち入り禁止」

「お前ふざけてんの?」

「至って真面目だけど?結婚前の女の部屋に素知らぬ顔で四六時中うろついてる方がおかしいでしょ」



今度は私が春ちゃんを睨み付け、無理矢理部屋から出て行くように促した。


これでようやく安心して眠れるよ。


そして私は1分も経たない内に深い眠りについた。






< 47 / 255 >

この作品をシェア

pagetop