奇妙な関係 ~オスとワタシの奮闘記~
「今日は仕事行かねぇの?」

「行かないよ。お母さんと出かける」

「ふぅーん」



春ちゃんとの生活も慣れつつあった。


慣れてきている事に正直戸惑いを感じずにはいられないが、対処方法が分からなかった。



「ついて来ないでねって言ってもついて来る気でしょ」

「まぁね。で、何処行くんだよ」

「さぁ?知らない」

「知らないって何だよ……」

「だって教えてくれないんだもん」

「文美の母ちゃんらしいな」



この家に居座っている春ちゃんは、鈴川家でお母さんが一番不思議キャラだという事に気付いている様だ。


春ちゃんは私の事を知りたくない程に知っているだろう。


だけど私は春ちゃんの事は名前以外何も知らない。


初めは知りたくもないと思っていたが、今はその時の気持ちとは少し違う。


興味があるとかじゃなくて、私の事ばかり知られるのはフェアじゃない。


そんな気がするだけ……。



「春ちゃんは何人家族なの?」

「俺?覚えてねぇんだよ」

「覚えてない?」

「生きてた時の記憶が全くねぇの」



聞いちゃいけない事聞いちゃったかもしれない……。


自分から聞いておきながら、何て答えていいのか分からず口籠ってしまった。





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