夏男と夏子


「そう言えば、兄ちゃんも農工大だったなぁ~ どうだい、夏子ちゃんは学校ではもてるだろう?」

「やだ、おじさん、大学って広いんだよ。高校の同級生探すみたいな訳にはいかないの。そんなの聞いても無駄だって」


「いや……、目立ってますよ」


――俺的には……、気になるほどに。


「やだっ、冗談ばっかり」


思いっきり笑い飛ばされて、おまけに力いっぱい背中を叩かれて、俺は一気に脱力した。

それからは、おじさん、おばさんと彼女達の会話を黙って聞いていた。

というより、二人が彼女達と話し込んじまって、仕事が全部俺任せになったってだけなんだけどよ。
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