あおぞらカルテ
なんだろう…この感覚は…?

何かを見失ってしまった。

自分が何を相手に仕事をしているのか?

病気を治すのが仕事。

それは正しい。

だけど、正しくない。

見失いかけていることを、今気付けたからまだよかった。

手術が終わり、ガウンを脱いでICUに行くと、浦賀さんは麻酔の覚めきっていない中でオレに言った。


「…道重せんせ?ちゃんと脂肪もとってくれた…?」


思わず膝が折れそうな冗談。


「残念ながら、憎き脂肪は取れませんでした。力が及びませんで…恐縮です」

「…御愁傷様ねぇ…ふふふ」


医者の仕事って、癌を切除するだけじゃないんだろ?

相手は、ガン細胞じゃなく、人間だ。
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