悲観のブルーダイアモンド
夕方になり、パーティーは
終焉を迎え客人達は帰って行き
最後までジャックを探したが
やはりいなかった。
少なくとも彼に惹かれていることは確かで、
初めての感情に戸惑いを隠せなかった。
部屋に戻るなりお母様から
話があると呼び出された。
いつも入ることを許されないお母様の寝室で。
メイド1人いないその部屋は
異様でただならぬ雰囲気を醸し出していて
ばつが悪そうな顔をしたお母様が待っていた。
「どうなさったのですか?」
不自然なくらいの笑顔を浮かべた
ふぅ。と一呼吸おき、お母様が口を開いた
「ルイーズ。いきなりだけど明日から貴女はブルネイの土地に行ってもらうわ」
あまりにも驚愕すぎる内容に
何も言えなかった。
「フランクの連中が攻めてくると密告があったのよ。貴女は王女、生き延びるのです。我が国は戦争になるでしょう。だから一刻も早くお逃げなさい」
お母様は涙した。
「私も戦います。お母様を置いてはいけません」
1人離れるくらいならと私は考えた。
「いいえ、貴女は逃げるのです。こんな危険な所にいてはならないの。ブルネイに知り合いがいるわ、そこに行きなさい。貴女はたった1人の王女なの。私の生きる希望なのです。」
何も言い返せなかった。
そして、この言葉に疑いを持たなかった。
お母様を置いて故郷を離れるなんて。
国民を捨てるだなんて。
私の平和で退屈な世界は
無残にも打ち砕かれた。