薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~



言いたいことだけ言い、去って行く静寂。


まるで興味などないかのようだ。だが外に出たまま稽古などしていたら、すぐさまお小言をくらう。それを知っている。だから静寂について行くかのように家へと入って、寝ることにした。


布団に入っても睡眠欲が掻き立てられない間は思考回路が速いスピードで働く。


考えたくもないような、思い出したくないようなことを考えてしまう、思い出してしまう。今がまさにそうだ。このように思い詰めることがあると、いつもいつも思い出してしまう。


気持ちが悪いほど幸せだったあの頃を呆気なく壊したあの出来事を。
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