薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~



「櫻澤結斗っていう人だよ。

 この前珍しく保健室登校してきて、テスト受けたくせに満点で1位とか取りやがったやつだよ。全くムカつくよねぇ。どうせ家で勉強なんて一つもしてないくせに」



悪質な言葉のわりにはその言葉をつむぐ静寂の表情はとても優しく、あたたかいものであった。おそらく本心ではなくこの場を和らげるものなのであろう。



「って、ことでよろしくね」




静寂は実に可愛らしい笑顔で紫音を見送った。

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