薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~
部屋には当主であり母親である藍羅《あいら》がいけたであろう鮮やかな赤い牡丹等が存在し、部屋を華々しくさせる。しかし部屋にはそれとは対照的な重々しい空気が流れる。
「で、どうするの、紫音」
それは諫めるようなものではなくあくまで優しさを含んだ物言いであった。そうでないと紫音も言いにくいであろう。そんな姉の心づかいであった。
紫音はその空気に気おされながらも、姉の言葉で意を決し、
「私に修行をつけてください」
と言葉を発する。
紫音にしては珍しく大きかった。
木霊までとはいけないが、静寂した部屋中には響きそうな声であった。それくらい彼女は覚悟を持っているということであろうか。
その言葉と同時に紫華はゆっくりと瞼をおろし、立ち上がり踵を返す。