薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~
「そんな」



筈はない。そう思った。


自分の中には驚愕と、落胆の感情が共に押し寄せてくる。


何故なら最後に読み終えようとしていた、書物は櫻澤《さくらさわ》家のことばかり書かれたものだったから。

鬼。化け物。そんなことで人間など救えるはずなどない。……延々と綴られる吐き気がするような言葉。

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