プラチナ・ラブ

「……思い出さなくていい。
……何も」


タカさん……?


「……幼い頃の君は今より酷い扱いを受けていた。
その記憶をどこかに閉じ込めてしまう程に……」

「っ……………!!」

「……だが、そのせいで君は大人を信用しなくなってしまった。
君を陰ながら見守ってくれていた……矢田のことも」

「矢田さんは……あたしのことなんか……どうでもいいに決まってる。
今だって……平気であの女に手を貸してっ……」


……花音は混乱していた。


矢田は憎い母親の秘書だ。

そんなことをするなんて信じられないのだろう。


「……花音ちゃん」

「……本当に……あなたは父の墓を知っているんですか?」

「……あぁ」

「……なら……連れていってください」

「え……?」

「……あの女が愛した……あたしを生んでほしいといった……父に会ってみたいです」


花音………。


「何かが……変わるかもしれないから」


……タカさんは笑顔でゆっくり頷いた。

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