プラチナ・ラブ

その時……あたしの目にテーブルの上の紙が目に入った。


「それ……」


三者面談の紙……。

あたしの視線に気がついた瀬和さんがゆっくり微笑んだ。


「よかったら……花音ちゃんのも行かせてもらえないか?」

「え……?」

「俺、一応花音ちゃんの父親に立候補してるからさ。
花音ちゃんがよければの話だけど……」


戸惑ったあたしは隣にいた大翔の方を見た。

大翔はポン、とあたしの背中を優しく撫でた。

背中を押されているようだった。


あたしは大翔の顔を見ながらゆっくり頷いて……瀬和さんの方を見た。


「……お願いします」


あたしがそう言うと、瀬和さんは嬉しそうに笑った。


「任せとけ!
そうと決まったら今日は羊羹パーティーだ!
ほら、大翔。
お前も食べろ」


そう言いながら大翔にも羊羹を切り分けてお皿を渡した。


「あれ……俺の皿がないな。
取ってくるか」

「あの……よかったら、これどうぞ。
あたし、もう一切れ食べたので……」

「え……いいの?」

「はい」


瀬和さんはにっこり笑って、ありがとうって言った。

それが嬉しくて、あたしまでいつの間にか笑顔になっていた。


「でも、あれだな。
このまま食べたら花音ちゃんと間接キス……え、ちょっと何?大翔。
黙ったままフォークを自分のと取り替えないでよ」

「花音、面談の紙は?」

「あ……そっか。
明日持ってくる!」

「ちょっと、無視?
男の嫉妬は醜いぞー、大翔」

「うるせぇよ」


やっぱり……この家は楽しい。

もしも瀬和さんが父親だったら……


……最近のあたしはそんなことばかり考えてしまっている。

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