プラチナ・ラブ

「……分かりますよ」

「え……?」


声を発した俺を学園長の目が捉えた。


「だって……俺達も学園長と同じだから」


学園長が俺達の顔を順番に見た。


「俺は両親から愛されずに、愛なんて知らずに生きてきました。
……花音だってそう。
タカさんは愛する奥さんと娘さんを亡くして……悲しみの中で生きてきました」


だから……分かる。

学園長の気持ちが……。


「みんな愛する人を……愛してくれるはずの人を失いました。
ずっと孤独で……それでも、こうやってまた自分を愛してくれる人を見つけられた」


俺はじっと学園長の目を見た。


「学園長は……ただ愛されることだけを望んだ。
その結果がこれです。
でも……もし学園長が愛されるだけじゃなくて、誰かを一生懸命愛することができたら……何かが変わっていたんじゃないですか?」

「愛する……?」

「もし学園長が花音を娘として愛してあげていれば……花音だってその愛を返してくれたはずです」


……学園長はハッとした顔で花音を見た。


< 208 / 226 >

この作品をシェア

pagetop