女神湖伝説(ラジオドラマ)

アキ姫

遠くで大きな電源スイッチの入る音。
大画面が起動する音。
すぐ近くの声で、

(ヒデ)「すげえ!大画面!」
(カズ)「シーッ」

遠くの声。
(仙人)「それでは、天界の第一指令。川中島の戦い!」

大画面の音高まる。声近づいて、
(仙人)「よいか、この大画面をよく見るのじゃ。
現場に落とされたらもう仕舞いじゃ。徹底的に
情況を頭に入れとくこと。よいな!」

(四人)「ははっ、かしこまって候」
(仙人)「ここの城が武田軍。その数2万数千。その半分が
今動き出す。こちらの山に上杉軍。その数2万。濃霧の中を

息を殺して全軍山を下り川を渡る。武田本隊も城を出て川を渡り
平原に陣を張る。1万2千の別働隊は山の裏手に進軍する。山の
上杉軍を追い出そうという戦法だが、上杉軍はもう山を下りている。

濃い霧の中、両軍間近で合間見えることになる。そこでじゃ。
四人は武田軍の本陣、旗本にのり移る。別働隊の合流を見るや、
謙信は自らの旗本数騎とともに、武田の本陣を中央突破してくる。

謙信が馬上より信玄に打ちかかる名場面。この場に姫の慕う若者が
おるやも知れぬ。しかと確認されたし」

(四人)「ははっ、かしこまって候」

小型宇宙船の来る音。ピポパピポパピポパ。
空中で停止、ホーバリングの音。

(仙人)「これぞ特製超小型時空宇宙船。スペシャルスペースサテライト。
略称3Sじゃ。近くまでわしが送っていく。さあ乗り込むぞ」

ホーバリングの音が続いている。
3Sの乗り口が開く音。
ステップがセットされる音。

(仙人)「さあ、このステップを登って」

ステップを登る音。
(アキ)「いつのまにか鎧を着てる」
(カズ)「ほんとだ」
(ヒデ)「やっぱりUFOだ」
(トラ)「あの香りは、マリファナ?」

(仙人)「何をしゃべっておる。早くベルトを締めよ。
その若者が見つかったら、姫、オーイクモ!と叫んで
下され。その場にこの船が現れ申す。おっとその前に、

大事なことを言い忘れておった。この四人は、意識と
生命は共有しておるが、体は別々である。一人が死ぬと、
この洞窟基地へと全員瞬間移動し振り出しに戻る。
軽はずみな行動は厳に慎むように。よいな!」

(四人)「ははっ、かしこまって候」
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