オトナの秘密基地
のそのそとベッドから起き上がり、身支度を整える。

カーゴパンツにポロシャツという服装は、昨日の桜のアドバイスに従ったから。

リビングで遊ぶミヅキと、ソファで授乳中の愛実に挨拶して、軽くご飯を食べる。


「出かけるの?」


「うん、ちょっとね」


「ふうん。気分転換にあたし達も連れてってくれない?」


おひとり様向けのマンションの下見に、こんなにうるさい奴らを連れて行けない。


「無理。だって、私の車で行くんだから。

チャイルドシート積んでないし」


「そっか……残念。暇つぶしになるかと思ったのに」


毎日暇つぶしができて羨ましい、という言葉を飲み込んで、私は家を出た。

< 28 / 294 >

この作品をシェア

pagetop