オトナの秘密基地

そっか、私、また秘密基地の夢を見ているんだ。

今回はいつものメンバーと違うみたいだけど。


その時、サイレンの音が聞こえた。

わずかな間隔をあけて、何度か鳴る。

前に聞いたのとは、違ったパターンのようだった。

うちの自治体だと、サイレンの後は防災無線でアナウンスが流れるはずなのに、それが聞こえない。

ちょっと変わったサイレンだった。

その音に反応したかのように、子どもがさらに泣き出す。


「頼むから、誰か泣き止ませろ!」

「あんまり泣くようなら、出ていけ!」


さっきの男の人達が、イライラしながら子どもとお父さんらしき人を責めている。


「そんなこと言ったって、今から外に出たら危ないだろう。

あんただって、よく泣く子だったんだよ」


年配の女性の声も聞こえた。


ああ、殺気立ったこの雰囲気、どうにかしたい。

……そうだ!
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