オトナの秘密基地
名前のせいにはしたくないけれど、私の名前である「伊東和実」は、中性的な名前らしい。

就活の時、資料請求したのに全然資料が届かない、なんて言っていた友達がいたけれど、私は請求もしていないのに届いた企業がいくつかあったっけ。

名前で判断されたようだった。

子どもの頃は、妹の可愛らしい名前が羨ましかったけれど、今はこれでいいと思っている。


名前も、性格も、働きっぷりも、飲みっぷりも、私はおよそ女性らしさとは程遠い。

もう、結婚しなくても生きていけると悟ったのはいつからだったっけ。

そんなことを考えながら、更衣室のロッカーにバッグをしまった。

さあ、仕事仕事。

シニヨンにした髪の毛が、少しだけほつれていたので、軽く直して売り場へ向かった。

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