シュガーレス

「…あの!!」


その声に振り向くと、


見覚えのある人が立っていた。


(でも名前は思い出せない。)


その人は顔が強ばっていて、


こっちにも緊張が伝わってくる。


「来てくれてありがとう!俺…A組の五十嵐亮っていいます!!」


あぁ、そうそう…


確か、三河と同じ部活の…



「サッカー部だよね?」


そう尋ねると、ぱぁっと顔を輝かせた。


どうやら感情が顔に現れやすいタイプみたい。

美里に似てる。


「知っててくれたんだ!?」


「三河…君と仲良いから」



あ、ちょっとガッカリしてる。


「そ、そっか…坂本さんも三河と仲良いよね?」


いや、特別仲良くないけと。


そう見えるのかな?



「まぁ普通かな…ところで…」


「あ、ごめん!」


「んーん」


早く終わらせてほしい。



「実は…」


こんな最低な事思ってる女だよ?


五十嵐君も早く目を覚まして、次見つけた方がいいよ。






「ずっと前から好きでした!
付き合ってもらえませんか!?」


五十嵐君が勢い良く、頭を下げる。


それを冷静に見ている自分。



「…ごめんなさい」















あなたに私の心は動かない。



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