空蝉の光 -桜花乱舞-
「あ、そうだ。お父さん、ちょっと出掛けて来ても良い?」
「何だ、瑛司ん家にでも行くのか?」
瑛司とは世梨のお父さんのことで、うちとは家族で仲良くしている。
だから、世梨とは兄弟みたいなものなんだよね。
「ううん、違う。一哉君と甘味屋に行く約束してたの」
私の言葉に、お父さんはピシリと固まった。
あ、やらかしたかも…。
「逢い引きじゃねぇかよ!駄目だ駄目だ!」
やっぱり、こうなるのね…。