兎の方向⇄

本性


「……はぁ………」


ドカッ


勢い良くソファに座り、ワイシャツのボタンを緩め始めた達樹。
後から入った兎佐美は少し驚いたように目を見開き、思った。

いつもとあからさまに違う、と。

いつもの達樹はあんな座り方しないし、ワイシャツのボタンも緩めない。


ガチャッ


「お待たせしました……」


兎佐美がそんな事を考えていると、頼輝がお茶を持って入って来た。
お茶を机の上に置く。


「兎佐美さんもお座り下さい」

「あ、はい……」


頼輝に背中を押されて、兎佐美は達樹の横に腰を下ろす。


「……で、この俺を呼びだして何の用だ…?」

「…今週末、会社の飲み会があるんだ」

「…へぇ………それで…?」

「お前にも、副社長として来て貰いたい」


2人の会話を聞きながら、兎佐美はポカンとしていた。

達樹が自分の事を俺、と言っている。
それだけじゃない。

感じる違和感。

これはもう、気のせいじゃない。


「…じゃあー…条件……」

「何だ……?」


兎佐美が考えている間にも2人の会話は進んで行く。


「…兎佐美もその飲み会に連れて行く……」

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