【短編】意地っ張りなキミに。



確かに、勇太の言う通り、待ってないで連絡してみればいいのかも知れない。


『どうしたんだよ』

『体調でも悪いのか』


……こんな感じで、何もなかったように明るく振舞っておけばいいのかも知れない。



本当は……自分でも分かっている。


これは意地を張ってるんじゃない。





ただ――…


怖いだけなんだ。


沙羅の声を聞きたい。
でも聞きたくない。


だって、もし聞いたら――…


知りたくない答えが出てしまうような気がして……。




「ハハッ!情けねぇ……これじゃあ、ただの意気地なしじゃん」



両腕で目隠しをしながら、天井に向かって呟く。



なぁ、沙羅……?


約束、忘れちまったのか?


それとも……


もう俺のこと、好きじゃなくなったのか――?



頭の中を……
考えたくもない答えばかりがぐるぐると回っていた。






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