一緒に、歩こう
「帰ったら連絡する」
もういいから中に入れ。
矢野くんはそう言って、
走って帰って行った。
あたしは姿を見えなくなるのを
確認して家の中に入る。
「…どうしよう、」
夢のようで夢じゃない。
今さっきまでここに
彼がいたんだ。
ここで彼に抱きしめられて、
彼にキスされた。
「夢じゃない…」
頬をつねる、なんて
ドラマみたいなことを
してみる。
痛みは本物で、
あたしの頬は赤い。
「もう…、あたし」
これ以上の幸せはない。
欲しいものが手に入った。
彼が、あたしだけの
彼になったんだ。