一緒に、歩こう



「…帰ったのかな、」




あたしが教室を

出る時にはまだいた矢野くん。

窓から外を見ているけど、

姿を現さない。

今日は1回も話してないし、

せめて帰る姿でも。

と思ったのに、いない。



「まだ、…教室かな」



準備をし終えても、

外に姿を現さない彼が

もしかしたらまだ

校内にいるのかもしれない。

あたしはそう思って、

もう1度教室に戻って

みることにした。

こうして教室に戻ることは

初めてだ。

いつもは、帰りの挨拶の後、

友達と真っ先に玄関に向かう。

でも今日は、まだ教室にいた。




「…あ、」




思わず声に出てしまう。

ショックだったからか。

教室の電気は消えていて、

中を覗いても誰もいない。

なーんだ、期待した

あたしがバカだ。

仕方なくあたしは、

職員室に戻ることにした。


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