一緒に、歩こう



『すぐ行くから。玄関で待っとけよ』



そう言って矢野くんは、

一方的に電話を切った。




「また、そういうこと…言う、」



イスに座り込む。

足の力が抜けて、

立てなかった。






「何考えてんだってーの…」




そうぼやきながらも、

矢野くんの言ったことに

従う自分がいる。

気付けば玄関に向かっていて。

早く来ないか、と

そわそわしている自分が

とてもとても恥ずかしい。





「早く…」




「朝から起こすなよな」



いつの間にか、

あたしの近くに来ていた矢野くん。

玄関の段に座っていたあたしの

隣に静かに座っている。




「わ、おはよ…矢野くん」



「今日寝不足で倒れたらどうすんの」




横で首を傾げて、

あたしを見るその姿が。

胸を締め付ける。

決して可愛らしい言い方でも

何でもないのに。

存在自体が、可愛くて

あたしの胸は張り裂けそうだ。



< 79 / 497 >

この作品をシェア

pagetop