愛染夢路
「「弥生」」
振り返ると夏菜と愛が息を切らして走ってきた。
「あーっごめんね!!!先に帰ろうとしてたぁ」
「弥生っっ?それでいいと?好きやったんやろ?」
愛が涙目になって私の肩を揺さぶる。
「うん。でもね…一言、言いたかった言葉があったんだよねー」
「「何?」」
「『愛染夢路』」
困ったような顔をしていた。
「ねぇ…何?そのアイゼンユメジって?」
愛が不思議そうに聞いてきた。
「私がつくったの。『愛する想いは強いんだけど…でもその夢の路は果てしなく遠いんだよ、って」
「どーゆー意味?」
「『片想い』ってこと!」
愛は手に持っていた鞄を強く握り締めて笑った。
「もう…決めたんだね」
「うん。ありがと…」
私たちがみた空は赤く染まっていて…
私たちの思いと同じ色してたんだ。
ありがとう。先生。