ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
「……わかった。そうする」


はぁ。

大きな安堵のため息が聞こえた。


「よかった。

わかってくれたのならいいよ」


まだ心配そうにあたしをのぞき込む薫さんに。

あたしは心の中で謝ってた。


(ごめんね、薫さん。

これだけは、あなたの言うことは聞けない)


絶対あたしはあの人を救う。

あの絶望の淵のような闇色の目をした、あの人を。


でも……

それには、一体どうしたら?


バスの窓の外を流れていく夜の暗い街を眺めながら。

あたしは黒川さんのことを考えていた。

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