ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
「柚希もきっとオレのこと、好きでいてくれるんだと思ってた」

「………ごめん」


暗い部屋に気まずい沈黙が落ちた。


(……にしても、今何時なんだろう)


どんどん暗くなる部屋に、ふと現実に戻る。


「ごめん、あたしもう帰らなきゃ」

「あ、そうだよね」


克己ははじかれたように立ち上がった。

あたしも立ち上がって、カバンを肩に掛ける。


「もう遅いし、母さんに車で送ってもらうよ」

「いいよ、そんなの」

「……にしても」


克巳の眉間にしわが寄った。


「意識が飛んでしまうなんて、心配だよな。

学校の行き帰り、一緒についてようか? オレが。

それならちょっとは安心でしょ」

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