あなたの”その”足元へ
3.綺樹 is
   *
ライナから、綺樹について簡単な説明を受けていた。

親同士が知り合いで、小さい頃から交流があること。

イギリスの大学をスキップで出て、今は働いていること。

休暇で日本に来ていること。

そして、涼の手には負えないから手を出さないように、と釘を刺された。


「ラナさん。
 俺にも好みあるし。
 それじゃ、女とみれば全員、口説いているみたいじゃない」

「そう?
 案外、あんたも節操ないわよ」

「節操!
 何だよそれ。
 おれ、遊び人じゃないよ」


むっとしている育ての子の顔を、ライナは横目で見た。


「ちゃらちゃらして、ナンパに明け暮れている男だって言ってないわよ。
 だけど、据え膳は全部喰ってるでしょ」


涼の無言に、ライナはため息をついた。


「女は怖いわよ。
 独占しようとして、妊娠を企むなんて当たり前だからね」

「わかってる」


ライナは、続けようとした言葉を飲み込んでいた。

何を言いたかったのか。
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