あなたの”その”足元へ
5.その気持ちは・・・
   *
喉の渇きで目が覚めると、薄暗い部屋の中だった。

首をめぐらせる。

男性の部屋らしい。

昨晩は、達馬と一緒だったはずだが。

その後にひっかけたのだろうか。

痛む頭を手で押さえながら身を起すと、洋服は着たままだった。

枕元の台に、水のペットボトルと薬が置いてあるのに、記憶が蘇った。

あいつは私にも優しいんだな。

少し口元に微笑が浮かんだ。

ありがたく薬を飲むと、ベットから下りた。

なぜか、そのまま部屋を出るのがもったいない気分になって、本棚を眺め、机に散乱している教科書をめくってみた。

彼が望めばこの机はマホガニーになり、ベッドはキングサイズになる。

この部屋と同じ広さは、クローゼットだ。
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