あなたの”その”足元へ
6.迫る手
   *

朝、起きた時には、徹夜で仕事をしていた様子だった。

そして部活から帰ってきた時、書類を手にして、床の上で眠り込んでいた。


「綺樹」


小さく呼んでみた。

反応なし。

屈みこんで顔を覗き込む。

まつげ長いな。

いつもは白い頬が上気している。

涼は3本指で額を触ってみた。

ちょっと熱いんじゃないか。

寝ているからか、本当に熱が出ているのか。

首筋を触って、確かめようか迷う。

がたがたという音にどきりとして、振り返った。

ローテーブルの上に、マナーモードになっている携帯が振動していた。

しつこく振動していたが、やがて止まった。

液晶画面の着信回数が、二桁になっている。


「綺樹」


涼は軽くゆさぶった。


「んー?」


のろのろと身を起こした。
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