奏舞姫神乙女たち
封印されし奏舞姫神乙女
天気は快晴。雲1つもない大空。空には数十羽のカモメが鳴きながら飛んでいる。
そのカモメの下の海にゴミなんてなく、沖縄の海みたいに青く暖かかった。浅瀬にも熱帯魚が元気よく、時を忘れているようにゆらりゆらりと泳ぐ。沖のほうではクルーザーなのか船が1隻浮かんでいた。時折汽笛の音が響きながら聞こえてくる。

この海は人の手が加わることなくできた自然の海。だから命もたくさんある。この島、舞海島<マイウミジマ>は現在2000人くらいの人々が生活している。そして尚且つお年寄よりも子供の人数のほうが多いという恵まれた島だった。なので子供のための施設も少なくはない。幼稚園、保育園、小・中学校、高校......そのほかにだってたくさんある。
会社は離島のためほとんどなく、住民の8割は漁業をやったりしている。ここの海は暖かいため新鮮でおいしい魚がたくさん取れる。残りの2割は、スーパーを経営したり畑仕事をしたりして生活している。


そんな島の砂浜に2人はいた。
その砂浜にもゴミなんてない。綺麗な貝殻がたくさん埋まっているだけだ。


「さすがは南の島だ。海も綺麗だし」
茶色の長い、癖のある髪に透き通るような赤い瞳。夏用の茶色と白の制服に赤いリボン。そんないでたちをした少女は隣にいる少年に話し掛けるように言った。
「うん。ここに来てよかったと僕もおもうよ」
少年は少女より2歳くらい年下で、茶色の襟くらいまである髪、透き通るような青い瞳、そして同じく制服を着ていた。

そして少女は、そうかと言うと青い空を眺めた。
「お姉ちゃん、そろそろ帰らないと」
少年は少女のことをお姉ちゃんと呼び、砂浜にポツリとあった赤いベンチから腰をあげた。
少女は白い腕時計を確認して、そうだねと言うと同じくベンチを立って、海を背にして歩き始めた。少年も後を着いていく。

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