~境界線~君だけの声が聞きたくて


「美月チャン」


誰かに呼ばれ振り返る。
こんな言い方するのはあの人しか居ないけど




「ハル、先輩」




ハル先輩と剛ちゃんは、よく休み時間になるとこうやってちょこちょこ私の教室に遊びにくる。




「けっこうあの噂広まってるみたい。しかも俺がお姫様抱っこしたっていうデマがね」




ーーーやっぱりもう広まってんだ



俺は好都合だけどね、なんて言いながら笑っているハル先輩。



こっちは全然ですから!むしろ目立って最悪ですっ




それから休み時間になると3年の先輩達が見に来て気持ち悪くなりそうだった。


とゆうか、気持ち悪くなった。




来るたびにハル先輩が曖昧に濁してくれて助かったけど、




「だって美月チャン、どっちにお姫様だっこされても困るでしょ?」








そう言ってちょっと悲しそうに言った。



その時は何でそんな表情をしたのか分からなかったし、気にも止めなかった。


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