生き続ける-消えない思い出-
ピントも合わせずに勢いで撮るなんて、私らしくない。
しかも大事なフィルム一枚目を。
いろいろ考え込んでいると、下から
『ピ────────』
と、いつか聞いたホイッスルの音が鳴り響いた。
どうやら休憩の合図らしく、試合をしていた男子達が一斉に止まり、お茶を飲んだり座り込んでタオルで汗を拭きだした。
私はハッとして、さっき思わず写してしまった“せりざわ”をちらりと見る。
撮ったとこ、見られてないよね……?