ただ、抱きしめて







相談することが出来ないし、


初恋の私は、どうすればいいかなんて


到底、分るはずなかったけど



“会いたい”



それだけを胸に、今日も病院に来た。


もしかしたら昨日偶然来てただけかも知れない。


だけど、今日も・・・いるかも知れない。


そんな淡い期待をもって中庭のベンチに座った。





ここは私のお気に入りの場所だった


幼い頃から、病院に来るたびに


ベンチに座って、桜の木を眺めてた。


ぽっかりと、穴が開いたみたいに


陽の光っが差し込んで、桜が


キラキラしながら雨みたいに降ってくる。


そんな、思い出の場所。





“やっぱり・・・来ないかなぁ・・・”




なんて、1時間くらい座っていた私は


温かい光に、気付くと目を閉じていた。










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