ミラヘノラブレター

■星月夜


(えっと……?)

今の状況が掴めないまま、私の思考回路は一時敵に停止する。


数日前、私は悩んだけれど、やっと帰る事を決めた。

"ココ"に居てもサクは居ない。
それに、サクを忘れたくはないから。

帰りたくない、そう思う事もあるけど。
"ココ"に居れば居るほど、私はヤトから離れられないから…。

サクも大事だけど、私にはヤトも大切になっていた。

だから…やっぱりヤトに逢いたくて。
ヤトの好きな、星空の下に来た。

逢えるとも限らないのに。

帰るつもりだから、昔私が着てきた服を着て。
星空を見上げると星月夜だった。

最後にサクと見上げた星月夜。

上から落ちてきそうなくらい星がたくさん出ている。
だけど月は居ない。

やっぱり私の空は星ばかり。
月とは離れてしまう。
これで最後。


…だったはずなのに?


気付けば私は今、ヤトの腕の中。

どうして?
今、行くなって言った?

私の聞き間違いじゃない。

ヤトだって"ココ"の人ではない。
大切な人が居て、思い出すかもしれない。

それでも…。

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